ポケモンGOは、任天堂の神風か?母屋を壊すハリケーンか?

こんにちわ。「任天堂の社員だった人」こと管理人のはちくです。
いま、アメリカを中心にポケモンGOが空前の大ヒット、社会的現象を起こしている報道が席巻しています。
日本のワイドショーまで、取り上げられていましたのでコレはかなりのものですし、東証の取引額からしてマネーゲームの材料としても、格好のねたになってますね。

 


さて、任天堂に在籍時、業績低調時に社内で聞こえてくる言葉を思い出しました。

 

「神風が吹く」

 

任天堂の業績が落ち込んでいる時は、ある一本のソフトをキッカケにして急上昇することが一度だけでなく数多く経験してきました。

たとえば、

ゲームボーイ末期に、ポケットモンスターの大ヒット

ニンテンドーDSは、脳トレブームに乗り、大ヒット

Wiiで、Wii SPORTSの大ヒット

こんな経験から、業績不振時には「神風が吹く」という言葉が自然と起こり耳に入るようなりました。

 

 

任天堂の企業文化として、山内元社長の「得意冷然 失意泰然」を引き継いでるところがあります。

つまり、「上手く行ってない時でも慌てずにどっしりと構え事業に取り組む」という文化です。

それは、(社員の多くは京都人ですので)京都人のはんなりとした県民性とも相性が良かったんだと思います。

不調に動せずしっかりしたモノを作っていこうという姿勢が、ヒットを生みだす礎になっていたかもしれません。

 

今回もこれまでのように神風が吹き、見事大逆転をしたという見方になるのでしょう。

が。

 

 

今回のポケモンGOの大ヒットは、任天堂社員としてみた時にはあまり喜べないと予想してます。

 

今、多くのリソースを投入して取り組んでいるのは、NX事業になってるはずです。

こちらの報道のように、社内においてもスマホアプリを開発していますが、あくまでも事業のメインストリームは自社でプラットフォームを立ち上げ、プラットフォームフォルダーとして収益化を計ることです。

 

今回のポケモンGOの利益は、あまりにも巨大すぎたと私は思います。

そう、NXを始めとするプラットフォームビジネスを行う必然性が問われるくらいに。

 

リスクヘッジや多角化戦略の中で、岩田前社長が苦渋の決断で進出したスマホゲー分野ですが、思った以上に立ち回れる実感と実証を得たのではないでしょうか。
こうなると、NXが恐らく最後のゲーム機になる可能性は高いと思います。

 

自社でゲーム機を作らないとなると、会社組織の内部構成においてギクシャクするところも出てくるかもしれません。
作るハードウェアというのが、自ずとスマホの周辺機器やスマホと接続する外部接続コントローラに限られて来るからです。
(ほかにQOLもあるでしょうが、それは高度なものではないはずです。)

 

高度な設計開発業務をしていた社員は、職務転換するかもしれません。
開発系に限らずハードに係る会社内の人員的な規模感からしても、かなり余剰感が出てくる気がします。
(ポテンシャルはあると思いますので、会社を追われることは無いと思いますけどね。)

また、ソフト系開発者についても、ファームやミドル・サポートなどに関わる仕事に関しては同じような変化が訪れる可能性は高いですね。

 

任天堂社員にとって、ポケモンGOの成功は社内に大きな動揺をもたらすものだったと私は思うのです。