久々のオフの日。
角打ち牛作のからあげ弁当を公園の日陰に座って平らげた後、どこへ行こうかと考えあぐねていました。
最強のからあげ弁当を【角打ち牛作】で見つけたので紹介したい!(福岡天神ランチ)
今泉には、「ほぼ日」を始めとしたネット上で話題になっていた「福岡天狼院書店」があったことを思い出しました。
私は帰宅するときに、いつも通りかかるのですが、ちょうど時刻はいつも夜。
とっくに閉店してます。
でも、今日のこの昼間の時間帯なら、突撃できる!
いざ参ります。
福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL 092-518-7435
営業時間:
平日 12:00〜22:00
土日祝日 10:00〜22:00
福岡天狼院 入り口
ビルの2階に、福岡天狼院は在るようです。
2階につながる階段前に、このような看板が置いてました。
看板は、黒でまとめられて、細字の明朝体でスタイリッシュな印象です。
階段を上がりきったところ、こんな案内が。
駐車場/駐輪場が無いことをお詫びし、近隣のコインパーキングのご利用を案内しています。
階段の上がりきった真正面に、宮沢賢治の「注文の多い料理店」の一文がありました。
(写真がなくて申し訳ございません。)
そして、その隣には、店内へつながる扉があります。
扉には、
「どなたもどうぞお入り下さい。決してご遠慮はありません。」
の一文が。
どうやら、この文章は「注文の多い料理店」にかけてるのでしょう。
おもいっきり本好きの知性を試してきます!
憎らしい演出です。
それでは、ゆっくりと扉をあけて、中へ入ってみます。
初めて入る本屋さんを、そぞろ歩きながら、店内を観察します。
ながめてると、背の高い本専用の什器が無いことに、気づきました。
店内のほとんどの本棚は、合板でできたお手製の本棚で店内を構成されているのが特徴的です。
そして、通路の突き当りにあった、平積みの本棚コーナーに目が止まりました。
大量に平積みにされていたのは、
「ストックビジネスの教科書」
この本は、私も既に購入し読破した本で、ストックビジネスをわかりやすく書いてある本でした。
平積みの横には、「ストックビジネスの教科書」のポップが鎮座していたのですが、よく見ると驚愕のポップがそこにはありました。
床まで届く、長い推薦文のポップ
これが天狼院のやり方かーーーーーー!!!!!!
なんなんだ、これは!!
書店の方が書かれた推薦文が長すぎて、床まで届いています。
しかも、この推薦文自体もしっかりと読み物として面白いもので、手に取り拾い上げて読み続けてしまいました。
こんなモノを、今まで見たこと無いです。
殆どのポップが、はがきサイズのカードにカラフルにペンで手書きされたものですが、この長文ポップは常識はずれ、前代未聞です。
でも、「ストックビジネスの教科書」の良さを伝えたいという気持ちが、床まで届く文章になったということがよく伝わります。
こういうポップが、お客への購買意欲を高める仕組みになり、天狼院の名を轟かせている理由でしょうね。
こちらは、本棚のコーナー。
アイドルの写真集(欅坂の平手友梨奈ちゃんを出すとはお目が高い。)も堂々と陳列です。
陳列の様子が、手に取りやすい雰囲気になってて、いいですね。
こちらのコーナーが、これまた驚きです。
ここに並んでるのは、「ドラえもん」や「ブラックジャック」「こち亀」など、いわば古典に当たるマンガばかり。
普通の本屋では、きっと、それほど売れる商品ではないでしょう。
それなのに、このように大量陳列して、写真入りのポップを作成し、購買意欲をかきたたせる売場づくりと言うのは、本当に観察をしてて飽きが来ません。
もう一つのユニークな売り場。
こちらは、「本の観覧車」というコーナーです。
同じテーブルに平積みされてる本。
タイトルをピックアップすると、
・はあちゅう氏の「半径5メートルの野望」
・「福岡夜遊びガイド」
・「北斗の拳」
・JR九州ななつ星のデザイナー水戸岡鋭治氏の「電車をデザインする仕事 」
・「福岡本」
全くもって、意味がわかりません。
普通の書店で、こんな品揃えで平積みの売り場を作ったら、間違いなく店長に怒られるでしょう。
でも、このカオスな陳列に、私は目が離せなくなりました。
そんな、天狼院の陳列マジックに魅了されて、店内をキョロキョロして写真をパチパチと撮ってると、超美人店員さんが話しかけてくれました。(ラッキー!!)
話してるうちに、私が天狼院に訪問した経緯や、好きな本なんかをいろいろ話をしながら、天狼院の説明をいっぱいしてもらえました。
先ほどの「本の観覧車」は、天狼院で開催してる読書会でお客様がおすすめした本を揃えた棚なんだと教えてもらいました。
それにしても、それだけの理由で、一区画を使ってしまうのもスゴイことです。
この店内デザインコンセプトは、「月間天狼院」と称して、月替りのテーマを決められ、それに沿った本棚や陳列を構成しているとのこと。
そのため、今月は
第一特集 改めて読みたい漫画
という、特集にそって「古典名作漫画」の陳列棚ができていたそうで、来月には無くなってしまうそうです。
あの「ドラえもん」や「こち亀」の陳列は、この第一特集の「改めて読みたい漫画」になるのですね。
こちらの棚は、殿堂入りとして、入れ替えが行われない棚だそうです。
3枚の文章パネルは、全て右上の棚にある
「一坪の奇跡」
という本を勧める推薦文です。
「一坪の奇跡」の中身としては、一坪の敷地でありながら羊羹とモナカで年商10億を売り上げる和菓子店をテーマにした本であるそうですが。
それにしても、1冊の本のセールスに、こんなに巨大な棚面積を占拠してしまうなんて・・・・。
常識破りの陳列としか言いようが無いです。
その他にも、天狼院には「セミナー」や「秘本」と呼ばれるものがあるそうで、聞けば聞くほど、
「ここは本屋なのか??」
という、固定概念を揺るがす話ばかりでした。
セミナーについては、SNS上に広告が流れてきたりして、天狼院のライティング講座など、私からしても受講してみたいテーマを扱った会があり、ずっと引っかかっていました。
そして、「秘本」の存在です。
秘本は、黒いカバーで覆われて透明袋にパッケージされた本のことです。
お客さんは、立ち読みはおろか、本の題名すら分からないまま、買うしかありません。
つまり、「天狼院を信じろ」という、いわば信仰心と肝試しとゲーミング的な本の売り方です。
美人店員さんに訊くところによると、秘本にはしっかりと面白い本が中には入っているそうですよ。購入しても、期待を裏切ることはないようです。
店内には、テーブルやカウンター席、そしてコタツ席があって、ワンドリンクや本を購入したら、座って作業したり本を読んだりしてもいいそうです。
コワーキングスペースのような使い方が出来て、居心地が良いかもしれません。
(WiFiも完備だそうです。)
私も、ジュースを頼んで、カウンターに座って仕事をしてみました。
目の前には、公園を一望でき、まずまずの眺めです。
仕事もはかどります。
しばらくすると、店内の模様替えが行われ、セミナーの準備が始まりました。
どうやら、講師を招いて、セミナーが行わえるようです。
私もちょうど、仕事のキリがついたところだったので、撤収準備をし、天狼院を後にしました。
今回、初めて福岡天狼院に訪問してきましたが、やっぱり噂になっている通り、スゴイ本屋さんです。
本を売るという目的にものすごくフォーカスされてて、店内のひとつひとつの売り場に独創性があって、お客の非計画購買をうまく引き出す仕組みづくりが上手いとひたすら感動しました。
ただそれ以上に、本や読書に関連するイベントが開催されるコミュニティスペースだったり、コワーキングスペースとしても利用できたりと、秘本という販売手法で話題性を創造したりと、お客さんが「本を買う」目的以外にも足を運んでもらうビジネスモデルが、視点が、普通の本屋では無いと思うわけです。
私も、なぜかこの天狼院の居心地の良さを思い出すたびに、時間が取れれば、再訪したいと思っているところです。
面白い事をやってくれそうなので、これからの天狼院の動きには注目しておきたいと思います。