こんにちわ。管理人のはちく(@hachiku_89)です。
皆さん、テレビで流れてくる海外ニュース 内容をよくわかっていますか?
・ロシアのクリミア侵攻
・インドと中国の国境地帯での紛争
・イスラエル パレスチナ問題
・イギリスのブリクジット
・自由で開かれたインド太平洋構想からのクアッド同盟
etc
よくわからないけど何となく分かったつもりで過ごしていないでしょうか。私もそんなひとりです。
遙かに遠い海外の物騒なニュースが直接私たちの日常に影響があるわけではないのですが、「ニュースを理解できるようになりたい」「教養を高めたい」とひそかに思ってるアナタに読んで欲しい一冊が
サクッとわかる ビジネス教養 地政学
奥山信司 監修
です。
ざっくりとした説明
本書は、馴染みが薄い地政学を扱う入門書ではありますが、書店などで実際に手に取って頂くと分かるように
文書よりもイラストが多い!!(と思う)
という異色の構成となっています。
地政学は、世界地図を中心に各国の位置関係がとても大事です。
でも、地図自体に拒否反応を示してしまう人も少ない無いでしょう。
そこを本書は、テーマとなる国々は「バーバパパ」のような丸っこいフォルムで全て擬人化!
それぞれの国の協力関係や対立関係を分かりやすく表してます。
可愛いイラストで関係性が示されているので地理が苦手な人でも難なく読み進めるようになっています。
地政学の基本概念を易しく解説
ランドパワー(大陸国家)とシーパワー(海洋国家)
この記事を読んで頂いてる方のなかには、恐らく地政学に興味を持ってる方だと思うので、きっと「ランドパワー・シーパワー」という語句は聞いたことがあると思います。
ランドパワー
⇒ 中国、ロシア、ドイツ、フランスなど
資源はあるが、貿易は陸路がメイン。
シーパワー
⇒ イギリス、日本、アメリカなど
海に囲まれてるので交易には船舶を使った海運が中心。
ここでアメリカは太平洋と大西洋に挟み込まれてるため海洋国家として分類されると知りました。
これまでの大きな戦争や紛争は、このランドパワーとシーパワーの勢力争いで発生していると説明していました。
ハートランドとリムランド
この言葉は知らない人が多いと思います。
ユーラシア大陸の心臓部にある寒冷で小雨のランドパワー(ロシア・中国など)は、温暖で豊かな沿岸部を求めて侵攻する。
ユーラシア大陸沿岸部の国家はランドパワーの膨張する力に対抗し紛争が発生。
紛争発生エリアを結ぶと、ちょうどユーラシア大陸のリム(周縁)状になってるので、リムランドと呼ばれている。
「なぜランドパワーの国家は決められた国境線を守らないのか?」と海に囲まれた日本人としては不思議に思うのですが、地続きの大陸国家は常に外部からの侵略の恐怖に晒されており周辺国を取り込みたがる傾向がある、それがリムランドで発生する紛争の原因となっているそうです。
このような様子で「地政学」で必須な用語・概念を中学生でも分かるように基礎から易しく解説されていました。
地政学から見た厳しい国際社会のリアリズムが分かる
本書は次第に
日本の地政学
アメリカ・ロシア・中国の地政学
アジア・中東・ヨーロッパの地政学
と進んでいきます。
特に日本の章は身近なテーマですので、多くページを割いています。
国内政治的イシューとなっている事項も触れてあるので、興味を持って読むことが出来ます。
ただ、地政学の視点からだと日本国民には辛辣な話が多くなるなぁとおもいました。
例えば、
北方領土は絶対帰ってこない
と本書は地政学的見地から喝破します。
日本人のひとりとしては実に哀しいことですが、相手国である「ロシア」からは近年「北極海ルート」開拓により航路が開け安全安定なシーレーン確保のためにも北方領土の価値が非常に高いと説明されていました。
また、日本に返還した途端、北方領土に米軍基地が出来るリスクを避けるためにも是が非でも自分で抑えておきたいのです。
沖縄米軍基地・横須賀基地は完璧な拠点
広大な占有地、米兵の問題行動、沖縄県民だけに課される過大な基地負担などなど、日本復帰後も沖縄で長年にわたり問題になっている「基地問題」
沖縄基地問題についても本書は厳しい説明をしています。
沖縄基地については
・沖縄基地は1万km内に中国やロシア中東を収めICBM(大陸間弾道ミサイル)で牽制できる
・マラッカ海峡をはじめとするシーレーンの保護
といった利点があり非常に重要な拠点であると説明され、アメリカは手放すことないと解説します。
また、横須賀基地は大型戦艦や空母を陸上に持ち上げ修理することが出来る世界最大級のドライドッグを有し日本人技術者の高い技術力でアメリカ本国以上のメンテができるという、太平洋インド洋に展開する米海軍にとっては非常に重要な拠点になっていると説明がありました。
ここまで読むと、米軍を日本から追い出したい「リベラル」や米軍不要の自主防衛を目指すべきだという「極右」の主張は実現不可能だと分かります。
アメリカがこんな良い立地の基地をそうですかと言って手放すことはないのです。
このように我々に親しみ深い問題を地政学を使って、わかりやすく解説してあります。
ビジネスにも役立つ?
章間のコラムで戦争における国の戦略というフレームワークが紹介されていました。
【戦略の7階層】
①世界観
②政策
③大戦略
④軍事戦略
⑤作戦
⑥戦術
⑦技術
世界観の対立でいうと、「民主主義 対 社会主義」「宗教」「民族」で争いが起きたりしますね。
①〜③が政治、④〜⑦が軍事の枠組みになるそうです。
この構図は、ビジネスの世界でも応用が利きそうです。
世界観は、「ビジョン」「ミッション」「フィロソフィー」「DNA」という言葉に言い換えると弊社感が出てくるのではないでしょうか。
また、①ほど抽象度が高く⑦ほど具体性が高いという特徴があります。
これも会社組織と似ていて、トップの社長はビジョンや方向性を示す仕事が主ですし一番下は直接的な技術で働くことになります。
この「戦略の7階層」の説明とビジネスに当てはめた話を奥山真司氏が詳しく説明してた動画あったので、ご覧ください。
管理人はちく(@hachiku_89)のまとめ
本書の「おわりに」欄にあった監修者 奥山真司氏の一文が心に残ったので紹介します。
”自分たちの都合のいい”安易な理想論や平和論に流されず、広い視野で、論理的に、背景にある思惑も含め、世界そのものをとらえる能力を養う一助になれば幸いです。
「おわりに」欄を読む頃には、すでにアナタはこれまで起きた戦争や紛争の背景や事情を、地政学というレンズを通すことでより深く理解ができたと思います。
各国の世界観や国益のために国境や条約を破るのをいとわない国家は今昔問わずゴマンといて、理性的に互いを法で縛っているとみせかけつつも軍事力と経済力という裏打ちが無いと空証文であり便所紙と同じ扱いになるという国際社会の冷酷さは本書を通じて学べることだと思います。
明日の生活に役立つ訳ではありませんが、大人として議論に耐えうる自分の意見見識を培う上で、読んでおきたい一冊でした。
奥山氏の著書として、もう一冊話題になっている本があります。
「サイレント・インベンション 目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画」
中国共産党がオーストラリアにて世論とメディアを操り支配下に置こうとする洗脳工作を白日にした禁断の書。
すでに日本も中国の毒牙にかかった政治家やメディアがうろうろしてるようです。その仕組みを知れると評判が高くなりました。
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