【書評】マネジメント職にぜひ読んでもらいたい!「自衛隊メンタル教官が教えてきた 自信のある人に変わるたった一つの方法」

こんにちわ。管理人のはちくです。

今回は、タイトルに釣られて買ってしまった書籍を紹介したいと思います。

タイトルから、軍事物・ミリタリーチックな内容を期待していたのですが、読了して見るとミリタリー臭さと言うのは一切無く、現代人のストレス対処にそのまま使える心理学のススメのようなマイルドさでした。

人の心を構成する【自信】の仕組みが、わかりやすく書いてあってカラダに染み入る本でした。


 

筆者は、「自信」を3つに分けているそうです。

第1の自信は、あることへの「できる・できない」という認識です。特定のテーマごとの評価で、一般的には、これが「自信」と言われます。

第1の自信の説明は、わかりやすいものでした。
テストが出来るとか、課題がこなせるとか、目標に対して自分の能力が上回っている部分で言う「自信」です。

 

私としては、第2の自信のほうが新しい知識として興味深いと思うものでした。

将来全般への「生きていける自信」(中略)、この自信を第2(身体・行き方)の自信と呼んでいます。

第二の自信の最大の特徴は、自信が低下するときの影響が第一の自信の場合よりはるかに大きいということです。

五体満足でなくなる

  • 乳がんで乳房を切除
  • 難病の告知を受ける
  • 足を切断する

機能がなくなる、低下する

  • 身体のマヒ
  • 原因不明の痛みや不調が続く
  • 目が見えない、耳が聴こえない

自分の感情や行動をコントロールできない

  • 眠れない
  • 排泄をコントロールできない
  • 認知症になってしまったことへの気づき

これまでの生き方の信念が通用しない

資産がなくなること(生きていけないと感じるほど)

  • 仕事がなくなる
  • 災害で失う

一部省略引用

こちらの自信は失うと非常にダメージが大きいと筆者は言ってます。

上記の項目は「自信を失う」というエピソードで、直面した当事者の落胆というのは想像しやすいと思います。

第2の自信を失うと、特に男性のほうが非常に苦しむそうです。
私の実体験からも、よく判ります。納得いく分析です。

 

第3の自信は、愛される自信、人間関係をうまくやれる自信です。

この第3の自信も、第2の自信と同じように、「前提部分」があります。自分はそこそこ愛されており、いざという時は助けてもらえる、いつかは誰かと結婚して子供も授かれるという感覚です。

第3(愛される)の自信の低下は、女性が敏感です。逆に言うと、女性の場合、誰かに話して共感してもらうと、第3(愛される)の自信が復活しやすいのです。

第3の自信については、挿絵の説明には

若く美しく愛されていて、居場所がある感覚

とあり、こちらの表現の方がよく分かりますね。

第3の自信についても、居場所があるとか誰かに愛されているとか、そういう側面が自信の一部になるというのは、新しい学びでした。

 

惨事

「惨事」を扱った一章があって、こちらは数少ない軍事色を味わえる一章でした。

人は惨事に直面すると、出来事や状態に対して何も対処できないことから、第1(できる)の自信の低下の発生するそうです。

 

あまり知られて無いことですが、惨事の現場で働く、自衛官や警察官・消防官などは被災した一般の人よりもショックが大きいそうです。
惨事の後の心理変化を「自分は弱い、みじめで情けない、恥ずかしい」と思ってしまうそうで、自責感に襲われるといいます。

以前は、このような自信低下の際には、第1の自信中心に支援されることが多かったそうで、「気合をいれろ」「そんなの気にするな」という掛け声で対処していたそうです。
その体育会系的な励まし方というのは想像しやすいです。

ところが筆者が自衛隊のメンタルヘルス教官として、3つの自信の回復への具体的なプロセスが紹介されており、これまでの方法とは異なるアプローチでメンタルケアを実践してたそうです。

 


 

本書の後半でも、うつと自信の関係をわかりやすく説明してあったり、成長が見込める評価方法「サイコーの評価法」が紹介されています。
心理学に即した目標設定や自信の回復のさせ方というのは、組織マネジメントにおいても有効だと思いますので、多くのビジネスマンやリーダーシップの現場でもそのまま使えるポイントが含まれていると思いました

 

本書「おわりに」に書いてあった言葉で、「企図(きと)を確立せよ」という言葉は覚えておきたいと思いました。
リーダーは自分がどんなことをどこまでやろうとしているのか、自分でしっかり認識しろ」という教えだそうです。
これを、「無意識目標の意識化」といいます。

これが無いと、部下は仕事がいつまで続くか分からず、徒労感や不満が溜まりリーダーへの不信に繋がるそうです。
そして、そのことが次の仕事にも影響をあたえるようになるといいます。

 

リーダーがしっかりと自分の意識から明確にゴールを設定することで、部下がゴールまでのやる気を保持し、ゴールに到達した時に組織の一体感を感じることができるとありました。

これは、実際のビジネスの現場で起こりうる事例として、身にしみて理解できます。

部下の活動領域とリーダーの持ってる情報や目標に格差があるにも関わらず、 ついリーダーは目先の課題ばかりに意識が向いてしまって、平気で部下の仕事を上乗せされたり、突然方向性を変えてしまったりと、その振る舞いで現場混乱を生み出すという場面です。

そんな現場は言うまでもなく、チーム内ではリーダーへの不満が増大し、人員の離脱を招いたりデスマが発生するのです。

 


 

これまでのサラリーマン生活において、「企図を確立して」業務を行う上司にあったこと無かったですね。

そういうマネジメント層にならないためにも、組織運営の心理的教本として使える一冊だと思いました。